《基礎知識》脚痩せも美脚形成も実際に体験をした人の口コミ情報が最も参考になるブログ:2017/02/14
「背中を洗ってくれないか」
と、父親に言われた。
この父親というのは、実は妻の父親である。
おれは一瞬戸惑ったが、
「え?!あっ!はいっ」
と言いながらタオルを構え、父親の背中にあてがった。
初めて父親の背中というものに触れた。
なんか丸っこくて大きくて、何だかゴツゴツしている。
上手に洗ってあげようと思えば思うほどうまくいかない。
タオルがねじれてしまう…
今度は父親がおれの背中を洗ってくれるらしい。
おれは静かに父親に背を向ける。
父親は、なんていうか、力加減を知らない。
すごく力強くて、体についている必要なものまで
洗い流されてしまいそうな感じ。
思わずおれは、身をよじってしまった。
「すまん」父親は申し訳なさそうに、
「男の子の背中を洗うのは難しいな」と言った…
おれは物心のついたころから、
女手ひとつで育てられてきた。
我が家に父親がいないことを悲しがらなかったのは、
ママの育てかたが上手だったからだと思う。
溢れんばかりの愛を注いでくれたので、
おれはとても幸せだった。
とは言え
父親のことを思わなかった訳ではない。
ただ、そのときおれがイメージするものは
どれも好感の持てないものばかりだった。
無口!ガンコ!厳しい!
正直、「父親は怖い」という印象しかなかった。
そんなおれに父ができたのは、
おれが結婚をしたからだ。
妻の父親は、おれにとって不思議な存在だった。
格好なんてつけない。不器用だけどまっすぐ。褒められると照れ隠しする。
大きなお世話なことばかりする…
おれは、父親というものに対する印象が
まるっきり変わった。